実際にあった発注者支援業務あるある6選!施工業者との関係を解説

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発注者支援業務では、今と昔で大きく変わったことが多数あります。

そこで今回は、過去の発注者支援業務にクローズアップし、「そうだったの!?」と思うこと間違いなしのエピソードを6つご紹介します。

  1.  現場へ行くとビール券が貰えた
  2.  検査が厳しすぎて業者からクレームがついた
  3.  昔はレベルが読めない人がいた
  4.  手心を加えていた人もいた
  5.  昔は1社が受注を独占していた
  6.  NEXCOは”月給100万越え”がザラにいた

発注者支援業務への理解を深めたい人は、ぜひご覧ください!

エピソード1: 現場へ行くとビール券が貰えた

発注者支援業務の業務の1つで、段階確認・検査のための臨場があります。

臨場とは

臨場とは、施工現場へ赴き、施工の段階、仕様通りの材料を使用しているかの確認や、立会いを行うことです。

現在はWeb カメラ等による映像と音声の双方向通信を使用して、段階確認・材料確認・立会いを行う”遠隔臨場”も普及され始めています。

たとえば工事物が図面通りできているか、床付けがきちんとできているかといった確認を行うことです。

特にこの床付け確認においては、40mピッチで掘削箇所を確認するなど、今より細やかな検査が行われていました。

床付け確認とは

床付けとは、建物の基礎を建てる際などに地盤面を掘削し、水平に堀り整えることです。

仕上がった面を床付け面と呼びます。

昭和の終わり頃は、床付け確認が今より頻繁に行われていました。

本文で40mピッチで掘削箇所を確認していたとありますが、つまり床付け面がきちんと深度を平行に保てているか、40mごとに確認をしていたということです。

工事範囲が200mあった場合は5回も確認をすることになり、ビール券はその労をねぎらう意味があったと思われます。

すると「今日はありがとうございました」という意味を込めて、施工業者側から発注者支援業務および役所の職員へビール券が2枚贈られていた、というエピソードはよく耳にします。

皆さんも自宅の工事を大工さんに頼んだ場合、お茶やコーヒーを出したりすると思いますが、まさにそれと似たことですね。

しかし当時の発注者支援業務では、多いと40件の現場を同時に受け持つこともありました。

40件の現場でそれぞれビール券を2枚渡されたら、80枚という膨大な数になります。

溜まったビール券をどうするかというと、部署ごとに1つの箱に溜めておいて、忘年会などの足しにすることが多かったようです。

ビール券は図書券と同じようなもので、ビールだけではなく酒屋のおつまみなどを買う際にも金券として利用できるので、そういう使われ方をしていたようですね。

ただ当然のことながら、公務員は業者から何かを受け取ることは禁止されており、みなし公務員という位置づけの発注者支援業務もそのルールに準じなければいけません。

よって、ビール券の授受も許されることではありませんが、かつてそういう風習があったというのは有名な話です。

公務員およびみなし公務員のルールについて

公務員は公務に従事し、税金から給料をもらう立場なので、民間の会社員より厳しいルールが課せられています。

なかでも特徴的な規則は次の3つです。

  • 守秘義務
  • 贈収賄(ぞうしゅうわい)
  • 職権乱用

順に説明します。

守秘義務

役所の中に入ると当然、個人情報や行政に関するさまざまな情報を知ることになります。

よって、そういった情報を外部に漏らしてはいけないというルールが守秘義務です。

守秘義務で守られるべき秘密には”職務上の秘密”と”職務上知り得た秘密”の2種類があります。

前者は仕事に従事する上で知り得たすべての秘密のことで、公表されると一定の目的を果たせず、行政の利益を害するものを指します。

後者は仕事を通じて知った個人の秘密(個人の納付税額・生活状態・人間関係など)などが含まれます。

また、公務員の場合、職務の遂行中か否かにかかわらず、公務員という身分に就いた限りは守秘義務を負うものとされています。

したがって、勤務時間外・休職時・停職時・休暇中、さらに退職後も守秘義務を守らなくてはいけません。

国家公務員法・地方公務員法においては、守秘義務を破った違反者は「最高1年の懲役又は最高50万円の罰金に処せられる」としており、民間の守秘義務より厳しい内容であることがわかります。

贈収賄(ぞうしゅうわい)

本文にあった“業者から何かを受け取ってはいけない”というルールは贈収賄に該当します。

なお、賄賂は金品など形のあるものだけでなく、利益になること一切を指します。

つまり飲食店でのサービスやゴルフ接待、旅行への招待、値引き、職のあっせんなども賄賂と判断される可能性があります。

職権乱用

公務員という地位を利用して、自分の利益になるようなことを「ああしろ」「こうしろ」と指図するのは職権乱用にあたります。

ポイントは、公務員がその職権を不当に利用した場合のみ、罪が成立するということです。公務員であっても、ただ人に義務のないことを負わせただけでは職権乱用罪には該当しません。

たとえば本来なら誰でも入れる公共施設への立ち入りを故意に禁止した場合などは、職権乱用罪として該当します。

発注者支援業務は立場的には民間ですが、”正式な公務員ではないが、公共的なサービスに従事する”立場のため、みなし公務員と見なされています。

よって、発注者支援業務も公務員とほぼ同じルールを課せられているため、今回の贈収賄は本来ならば発注者支援業務も遵守すべきルールです。

エピソード2: 検査が厳しすぎて業者からクレームがついた

発注者支援業務を行う人は、一般的に現場技術員と呼ばれます。

その現場技術員の検査・確認があまりに厳しすぎて、施工業者からクレームがついたという話も昔はよく聞きました。

なお、このエピソードは積算や許認可業務は対象ではありません。

 

例えばA建設が工事を行っているとしましょう。

そこへ、B現場技術員が配筋のピッチの確認をしに現場へ来ました。

ただ性格的に細かいB現場技術員は、非常に厳しい検査をして、何度もダメ出しをします。

すると業者側は施工が進められず、次段階の生コンの打設ができないなど、支障が出始めます。

そこでA建設が国土交通省の上の人へ「B現場技術員はあまりにも厳しすぎる!」と直談判するのですね。

今はあまりないですが、昔は施工業者側に国土交通省のOBが相当数いました。

国土交通省で上位ポジションにいた人が、天下りでA建設の相談役に就任するようなことがよくあったのです。

つまり、その元・国土交通省OB(現・A建設相談役)の人が国土交通省の現役職員に「B現場技術員をどうにかしろよ」と訴えます。

職員からすると、OBつまり大先輩にそう言われたわけですから、今度はその旨を出張所に下ろして、所長が「Bくん、いい加減にしなさい」と直々に注意します。

ひどい場合は、B現場技術員が所属している会社に、技術員の交代を要請することもありました。

Bさんのように、厳しい目を持って検査を行う現場技術員は、正しいといえば正しいことをしているのかもしれません。

ただ、人によっては書類の句読点の位置や、表紙の有無、ナンバリングなど、本筋からズレたところでダメ出しを出す人もいます。

施工業者側も工事が進まない限りは利益を得られないので、やはり検査の厳しさ・細かさは程度問題と言えるでしょう。

それは今にも通ずる考え方であり、現に上記のようなケースは近年は見られません。

また、国土交通省のOBが天下りするということ自体もほぼなくなりました。

配筋のピッチとは

配筋とは、工事にあたって鉄筋コンクリートを配置すること、鉄筋コンクリートを組み立てることを指します。

現場では「柱の配筋をする」といった使われ方をします。

鉄筋コンクリートは、それが柱に使われるのか、梁(はり)に使われるのかといった部材ごとに配筋の方法が異なってくるのです。

また、配筋を行う際は、等間隔で鉄筋を割りつけていくのですが、この間隔をピッチといいます。

ピッチは記号と数字で表現され、”D10@200”と書いてあれば、「直径10mmの鉄筋を200mmの間隔で配筋する」という意味です。

つまり発注者支援業務が行う配筋のピッチ確認とは、鉄筋が指示通りの間隔で配置されているかを確認する作業のことです。

生コンの打設とは

鉄筋コンクリートの建物を建造する際は、次のような工程があります。

  1. 骨格部分として、鉄筋や鉄骨を組み合わせる
  2. 出来上がった骨格を囲うようにして型枠を作る
  3. 型枠に生コンクリートを流し込む(体躯の完成)

③の生コンクリートを流し込む作業のことを打設と言います。

コンクリートを充填する際、棒などで入念に叩いて空気や水を追い出したことが由来とされており、打ち込みと呼ばれることもあります。

コンクリートは流し込んでいるうちにどんどん硬貨していくので、打設は入念な準備と時間管理が必要とされます。

さらに、打設によって固まったコンクリートは建物の体躯になるため、非常に重要な工程と言えるでしょう。

本文では、現場技術員の配筋におけるダメ出しから、生コンの打設に進められないという例を紹介しました。

まとめ

今回は”昔の発注者支援業務で見られたあるあるエピソード”を2つ紹介しました。

今とはかなり状況や体制が異なっていたことがわかりますね。

特にビール券の授受については驚いた方も多いのではないでしょうか?

  1.  現場へ行くとビール券が貰えた
  2.  検査が厳しすぎて業者からクレームがついた
  3.  昔はレベルが読めない人がいた
  4.  手心を加えていた人もいた
  5.  昔は1社が受注を独占していた
  6.  NEXCOは”月給100万越え”がザラにいた

今回は『2. . 検査が厳しすぎて業者からクレームがついた』まで紹介しましたので、次の記事では『3. 昔はレベルが読めない人がいた』から紹介します!


 

この記事の内容は以下の動画で解説しています。

理解を深めたい方はこちらの動画もご覧ください。

 

この記事の続きは以下の記事になります。

国土交通省やNEXCOの昔とは?発注者支援業務エピソードを紹介!

2022.05.25

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